時を超える革新:自動精算機の歴史

時を超える革新:自動精算機の歴史

株式会社アルメックス(以下、アルメックス)は、自動精算機の製造販売会社です。そもそも自動精算機とは何かといえば、人を介さずに精算を行うことができる機械のことです。世界初の自動精算機と言われているのは、古代エジプトの寺院に設置された聖水の販売装置です。硬貨を投入すると、その重みで栓が開いて水が出てくる構造でした。これが進化したものが、日本の街中でもよく見かける清涼飲料水の自動販売機です。

タイパ時代の行動変容

自動精算機の歴史のはじまり

自動販売機は、お金をいれると仕切りが開いて商品が出てくるという比較的単純な構造ですが、そのうち簡単な情報を処理して表示するように進化を遂げます。

たとえば、駅や映画館にある自動券売機です。

今はICカードによる自動改札が普及したため、電車に乗るために自動券売機で切符を買う人は少なくなりましたが、日本初の電子マネーともいわれるJR東日本のSUICAが導入されたのは21世紀の最初の年である2001年のことです。20世紀にはまだ、誰でも電車に乗る前には自動券売機で切符を買う必要があったのです。

ちなみに、自動券売機が登場する前は対面で駅員さんに行き先を告げて切符を買う必要がありました。もちろん今でもその方法で切符を買うことはできます。

自動精算機はタイパにすぐれる

対面式から自動精算機による販売へと社会が変化していったのは、そのほうが効率がよいからです。

現在、Z世代と呼ばれる若者を中心に、「タイパ」を重視するライフスタイルが広まっています。タイパとはタイムパフォーマンスの略語で、何か物事をおこなうときに、それにかかる時間に見合う見返りが得られるかどうかの指標を意味します。

Z世代はテレビ番組や映画をリアルタイムで見ることは少なく、録画やVODを使って1.5倍速や1.8倍速で流し見することが多いそうです。

情報の多い環境に生きているZ世代は、周囲に置いて行かれないように常に忙しくしているため、無駄な時間を使いたくないのです。そんな彼らが好むのがスピーディーな自動精算機です。コミュニケーションの手間がいらず、計算も速く、キャッシュレスでもすぐに精算を済ませられる自動精算機はタイパ時代を象徴する機械です。

事業者にとっても自動精算機は、人手を減らして効率を高めるためコスパ(コストパフォーマンス)にすぐれています。利用者にとっても「時は金なり」ですから、自動精算機を導入して時間効率を高めることは歓迎されます。

時間とコストの削減につながる自動精算機の誕生と進化は、素早く快適に利用できる環境を求める社会のニーズに沿うものでした。

自動精算機の変遷

情報管理できる自動精算機の登場

話を20世紀の昭和時代に戻します。

アルメックスが設立されたのは1966年のことでした。当時の社名は東洋技研工業です。

日本ではこの頃から自動販売機が急速に普及します。

その理由は、1967年に現在と同じ100円硬貨・50円硬貨が白銅で製造されることになり大量発行が可能になったからと、国鉄が合理化を進めて自動券売機を全面的に導入したからだと言われています。

アルメックスが初めて自動精算機を開発販売したのは1985年になります。当時すでに自動販売機は街中のどこにでもあるものになっていましたが、アルメックスの自動精算機はいわゆる自動販売機をさらに進化させた機能を持っていました。

フロンティア24と名づけられたレジャーホテル向けの自動精算機は、キーボードと画面付きで、空いている部屋を自動的に表示して予約できるような管理システムをそなえていたのです。

PMS(Property Management System)とも呼ばれるこのホテル運営管理システムはお客様からの支持を受け、アルメックスの自動精算機のいしずえとなりました。

事業者にも利用者にもメリットがあった

1989年に昭和天皇が崩御して、平成時代が始まります。

当時のアルメックスの自動精算機は、ホテルにチェックインした時間とチェックアウトした時間から自動的に利用料金を計算するフロント精算機やカラオケ精算機、またホテル内で自動販売機などを使用する際に紙幣を硬貨に両替するための客室内両替機などでした。

今から見るとシンプルな自動精算機ですが、それでもいちいち人が呼ばれて対面で精算や両替をおこなっていた時代を考えれば、たいへんな効率向上になりました。

レジャーホテルやカラオケは個室で楽しむ娯楽であり、素に戻ったときに他人と顔を合わせる気恥ずかしさやわずらわしさがありますから、自動精算機や両替機の導入は利用率の向上にもつながりました。

自動精算機の歴史はIT化の歴史

ITが見えてきたら、どうなる?

平成の30年はグローバル化とIT化の30年でもありました。

1994年には初のインターネットブラウザであるネットスケープ・ナビゲーターがアメリカで登場し、アマゾン・ドットコムも設立されます。

1995年にはマイクロソフトのウィンドウズ95が全世界で発売されて店舗に行列ができ、1996年にはポータルサイトのヤフー・ジャパンが誕生します。

2000年に首相になった森喜朗氏のようにIT革命を「イット革命」と読み間違えるような高齢者もまだいましたが、同じ年にはグーグル日本語版がサービスを開始するなど、現在につながるIT環境が整えられてきます。

それに伴い、自動精算機も進化の一途をたどりました。

お金をいれたりボタンを押したりで入出力をするだけでなく、ICカードやクレジットカードの読み取りにも対応するようになったのです。

自動精算機の歴史を変えたのが、1994年のQRコード*の発明でした。

それまではお客様に自ら情報を入力してもらうことで個人識別していたのですが、QRコードを発行して自動精算機に読み込ませることで情報入力が簡単になり、お客様の手間を大きく減らすことができるようになったのです。

日本で発明されたQRコードは、現在もスマホの電子決済に利用されるなど、各所で便利に使われています。

*QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

自動精算機の進化と未来のレジ

自動精算機は、お客様が商品やサービスを購入したときに、何をどれだけ購入したかを自動的に計算して金額を表示し、お客様からの支払いを受け付ける機械です。

何をどれだけ購入したかの計算はそれなりに面倒なので、計算機能と精算機能は切り離されることが多く、その橋渡しとしてデータ転送やQRコードが使われます。

たとえば、スーパーマーケットのセミセルフレジは、商品のバーコードの読み取りだけはレジで店員がおこなうものの、支払いは自動精算機を使ってお客様におこなってもらう形式です。店員がお金をさわらないので防犯にも役立っています。

さらに進化したセルフレジでは、商品のバーコードの読み取りもお客様に任せてしまいます。

最近では、商品に付けたICタグをカゴに入れるだけで自動的に読み取って合計金額を表示する自動精算機も登場しつつあります。

このように、自動精算機によってお客様が自己精算をおこなうことで、会計担当者の負担が軽減され、人員配置や業務の効率化が図れて、人件費の削減ができます。

また、自動精算機は精密な計算をおこなうため、釣銭や預かり金の計算ミスなどの人為的なエラーを大幅に削減できます。

さらに、自動精算機により会計時間を短くすることができます。お客様が迅速かつスムーズに精算を完了させることができるので、より良い顧客体験を提供できます。

コロナ禍で変化した社会に必要な自動精算機

2019年末からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、自動精算機の新たなニーズを掘り起こしました。

その一つが感染リスクの低減です。自動精算機により、会計担当者とお客様の金銭の手渡しが不要になり、感染リスクが低減しました。新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症対策に効果的と認められて、自動精算機の普及が進みました。

コロナ後の観光需要の対応にも自動精算機は効果的です。自動精算機に外国語対応の機能があれば、外国人のお客様がスムーズに精算することができるからです。現在は英語以外にも中国語や韓国語などに対応した自動精算機も増えています。

私たちの生活が便利になるにつれて、自動精算機も進化してきました。

自動精算機の歴史は人間社会のテクノロジーの発展に比例しているのです。

<執筆者プロフィール>
・執筆者:内田浩樹
・所属:株式会社アルメックス 構造改革本部 企画部
・経歴:
株式会社アルメックスに新卒で入社、入社24年目。入社後の最初の3年間は営業部門で働き、その後新製品導入チームに異動し、10年間開発部門に在籍しました。その経験を通じて会計や会社の仕組みに興味を持ち、経営企画に転身し、7年間の経験を積みました。現在は、新しい取り組みやアルメックスのデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を担当する構造改革本部で、自社利用システムの導入と運用管理に携わっています。
・保有資格:
マーケティングビジネス実務検定B級、簿記2級、第2種電気工事士、普通自動車免許、防災士など

・アルメックス公式SNS:
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