仕事の未来を探る:自動精算機の進化と共に広がる、機械と人の共存の舞台裏

仕事の未来を探る:自動精算機の進化と共に広がる、機械と人の共存の舞台裏

病院の自動支払機が一般化したり、スーパーマーケットのセルフ精算レジの設置企業割合が78.2%*を占めるなど、様々な場面で自動化が進み、日常がより便利になっています。しかし、以前にその場で働いていたはずの人間の従業員はどこに行ってしまったのでしょうか?今回は機械と人との住み分けについて考えてみました。
*一般社団法人 全国スーパーマーケット協会「2023年 スーパーマーケット年次統計調査」参照

自動化で職場はどう変わるのか

AIが代替する職業

オックスフォード大学と野村證券の共同研究(2015年)によると、2035年頃には日本の労働人口の49%がAIやロボットに置き換わる可能性があるそうです。代替されやすい職業として、事務職、銀行員、警備員、小売店店員などがデジタル化、AI化の共通点として挙げられています。これらの職業に共通しているのは、業務の機械化によって効率化やミスの減少が期待できる点です。

デジタル化、AI化の共通点

実際、小売店ではセルフレジや無人決済の導入が進み、銀行でもATMによる自動化が浸透しています。さらに、公共施設や商業施設、宿泊施設などでも、入場料や利用料の支払いを自動精算機に任せるケースが増えています。これらの自動化は、計算や集計、金銭管理といったAIが得意とする分野で特に進んでいます。

小売店や集客施設の自動化が進んでいる

自動精算機とは、利用者が現金またはキャッシュレスで入場料等を支払える機械装置のことです。料金設定や支払方法は機器側でプログラムされているため、正確かつスピーディーな処理が可能になります。たとえば、レジャー施設では入場前の利用料金支払いを自動精算機に任せることで、従来の窓口対応に比べて待ち時間を大幅に短縮できるようになりました。料金支払い業務の自動化は、効率化と共にサービス品質の向上にも寄与しています。

自動精算機活用のメリット

自動化のメリット

自動精算機を活用することで、従来人の手に頼っていた料金支払い業務を機械に任せることができるようになりました。機械は正確で迅速な処理ができるため、待ち時間の短縮や業務の効率化が図れて、人為的なミスも防げるというメリットがあります。

利用者のメリット

利用者にとっての最大のメリットは、待ち時間の短縮です。特に混雑時には自動精算機を利用することで、スムーズに入場やサービス利用を開始できます。また、現金の他にキャッシュレス決済にも対応しているので、支払い方法の選択肢も増えます。機器がシンプルで使い方が分かりやすいため、障がい者にとっては対面式の窓口よりも便利なこともあります。

事業者のメリット

事業者にとってのメリットは、人件費と人為的なミスの軽減です。精算業務を自動化することで、従業員をサービス部門に回すなど、人員配置の最適化ができます。また外国語対応モデルを導入すれば、インバウンド需要取り込みにも効果的です。

クリニックやホテルでの導入事例

実際に自動精算機を導入している施設を見てみましょう。たとえば、クリニックでは診療費の支払いに自動精算機を設置し、会計業務を自動化しているケースがよく見られます。
病院やクリニックではよく「待ち時間の長さ」と「診療時間の短さ」が患者側の不満としてあげられていますが、自動精算機の導入によって会計窓口での待ち時間をなくすことで、患者側の満足度を向上させることができます。
ホテルでもフロント業務の負担軽減に自動チェックイン・チェックアウトシステムが普及しつつあります。宿泊料金の支払いを自動精算機に任せることで、フロントスタッフはゲスト対応などの人間にしかできない、きめこまやかな業務に注力できるようになります。

イニシャルコストが安いのもメリット

自動精算機導入のイニシャルコストは、他の自動化設備に比べて安価です。小型のコンパクトタイプなら10万円台の価格から導入可能なので、コストパフォーマンスが高いです。クレジット対応など決済機能を追加したとしても、それほど追加料金はかからず、比較的低コストで自動精算化が実現できます。
また、耐用年数も長く、メンテナンスフリーで使えるモデルが多いのです。操作方法も単純で、スタッフへの教育コストがかからないのも魅力の一つです。
現在、業務効率の向上を課題としている企業が多いと思いますが、自動精算機を導入することで、気軽に業務効率化を図れるようになるでしょう。補助金などが出るケースもあるので調べてみてください。

外国語対応でインバウンド対策に

自動精算機の大きなメリットのひとつが、多言語対応機能です。英語をはじめ、中国語、韓国語など、多様な言語で操作ガイダンスを表示できます。訪日外国人旅行者のインバウンド需要を想定するのであれば、欠かせない機器と言えるでしょう。
さらに、異なる通貨への対応も可能で、海外で使われている硬貨を投入して料金支払いができるモデルもあります。もちろんクレジットカードや電子マネーなどにも対応させることができます。今後のグローバル化に合わせて、外国人利用者の声にも応えられる自動精算機の導入が観光業界などで増えることが想定されています。

人は人にしかできない仕事に注力

人間は考える“足”である

ここまで自動精算機の長所をあげてきました。では、人にはどのような長所があるでしょうか。
自動精算機はあらかじめプログラムされた動作しかこなすことができません。たとえば、突然、お客様から道を尋ねられたとしても、自動精算機に道案内はできません。その機能がプログラムされていないからです。
しかし人の場合は、たとえトラブルが起きたときでも、臨機応変に応じることができます。言い換えれば、自動精算機は精算しかできませんが、人の場合は事前にプログラムしなくても自然と多機能な業務に対応することができます。もちろん道案内もできますし、場合によっては目的地まで歩いて連れていくこともできます。まさに「考える足」と言えます。

人のメリット・デメリット

このように考えると、お客様への対応という面では自動精算機よりも人のほうがずっとメリットがあります。実際、スーパーマーケットのセルフレジには、機械の操作方法がわからないお客様への対応や、万引きなどへの対応のために、人が配置されていることがほとんどです。想定外の事態に対しては人にかなう機械はないのです。
一方で、精算や支払いなどあらかじめ想定された範囲内の定型業務については、機械のほうが人よりも正確で迅速な動作が期待できます。機械と人は仕事を奪い合うライバルではなく、お互いに得意な面と不得意な面があるので、補い合う関係にあります。

人が持つホスピタリティの魅力

人が得意なものの一つは、ホスピタリティ(おもてなしの精神)です。機械化が進む社会では、人は人にしかできない仕事をすることが求められますが、その筆頭にくるのがホスピタリティあふれる接客対応でしょう。
機械は効率化を得意としているため、どうしても対応が事務的になりますし、画一的な応答ばかりになってしまいます。その冷たさを補うのが人のホスピタリティです。
これからの社会では、テクノロジーとホスピタリティの組み合わせが重要になるでしょう。たとえば、機械が受付や精算をする隣で人がお客様の相談に乗っていたり、機械の問い合わせボタンを押すとテレビ電話で人につながるような状況が想像できます。昨今の自動精算機の普及は、そんな未来を予想させてくれるものの一つです。

<執筆者プロフィール>
・執筆者:内田浩樹
・所属:株式会社アルメックス 構造改革本部 企画部
・経歴:
株式会社アルメックスに新卒で入社、入社24年目。入社後の最初の3年間は営業部門で働き、その後新製品導入チームに異動し、10年間開発部門に在籍しました。その経験を通じて会計や会社の仕組みに興味を持ち、経営企画に転身し、7年間の経験を積みました。現在は、新しい取り組みやアルメックスのデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を担当する構造改革本部で、自社利用システムの導入と運用管理に携わっています。
・保有資格:
マーケティングビジネス実務検定B級、簿記2級、第2種電気工事士、普通自動車免許、防災士など

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