導入効果EFFECT

第1回 株式会社エネナジー代表取締役 菊地英樹 様 「自動精算機」は今後のゴルフ場経営のキーデバイスになる。

日本のゴルフ人口は減少傾向が続き、ゴルフ場の経営環境は厳しさを増しています。市場変化にいかに対応し、いま何をすべきなのか?ゴルフ場ビジネスの多様化に対応し、独自のマーケティングで収益改善をもたらす株式会社エナジーの菊地社長に、ゴルフ場運営の打開策を語っていただきました。

菊地英樹 様 プロファイル
ロケーション

菊地 英樹(Hideki Kikuchi)

1962年生まれ。ソニー・マガジンズ発行のゴルフ雑誌「バフィ」元副編集長。現在、株式会社エナジー 代表取締役。新しいゴルフライフを雑誌の誌面を通じて提案する傍ら、世界のメジャートーナメントや、世界の名門コース、有名コースを訪れる。1992年、ゴルフ場コンサルティング会社である株式会社エナジーを設立。「ゴルフ場コンサルタントの第一人者」「勝ち組コースの仕掛け人」と称される。「週刊/月刊ゴルフダイジェスト」「ゴルフ場セミナー」「チョイス」(ゴルフダイジェスト社)「ゴルフマネジメント」(一季出版)「日経トレンディ」(日経BP社)などに於いて、執筆及びコメンテート活動中。

株式会社エナジー

■主な事業実績
茨城県 鹿島の杜カントリー倶楽部、北海道 ユニ東武ゴルフクラブ、埼玉県 新武蔵丘ゴルフコース、千葉県 大原・御宿ゴルフコース、滋賀県 竜王ゴルフコース、静岡県 三島ゴルフ倶楽部、千葉県 紫カントリークラブ、兵庫県 吉川インターゴルフ倶楽部:メッチャ 他多数

ゴルフ場の鑑定評価(デュー・デリジェンス) 全国100コース以上

──日本のゴルフ場は、いまどのような状況におかれているのでしょうか?

菊地 1990年2月にバブル崩壊が起こりました。ゴルフ産業はまさにその時がピークでしたが、バブル崩壊後も多少の勢いがあました。しかしその後、20年にわたってゴルフ産業は下降の一途を辿っています。更に、少子高齢化の影響でゴルフ人口が減り、若年層のゴルフ離れも進んでいます。

このように、ゴルフ場のお客さまの総数は減っていますが、近年は、団塊の世代の方が現役を引退して平日もゴルフができるようになり、一人あたりのプレーの回数は増えています。これは「ゴルフの大衆化」という点では良いことですが、低料金へのニーズが広がるとゴルフ場もそれに対応して料金を下げるので、市場が拡大しているわけではありません。さらにこの先、団塊の世代が70歳代に入るとプレーの回数が減り、なかなかゴルフ場に行けなくなります。こうなると、たとえ料金を安く設定しても客数は増えません。これがゴルフ産業の「2015年問題」と呼ばれているもので、ゴルフ場は本格的な冬の時代に入るのは確かです。

──そうした状況で、ゴルフ場は今後どうしたらよいですか?

菊地 市場が縮小するからと言ってゴルフ場の経営がすぐに立ちゆかなくなることはありませんが、売上規模に見合った経営のダウンサイズ化を図ることが、今後ますます求められるだろうと思います。

例えばクラブハウスの運営を見直し、サービス内容をもっとシンプルにすれば相当の経費削減が実現できます。キャディのいらない“セルフプレー”の促進も人件費削減に直結する施策です。さらには日本でよく見られるハーフ終了後に食事休憩を挟むプレーに替えて、“スループレー”の奨励も効果的です。食事休憩を入れずに18ホールを一気に回っていただくと時間の節約になり、プレー方式の選択性が広がります。事前精算方式と組み合わせて運営できればさらに効果的でしょう。

──合理化を進めると、サービスが低下するという心配もありますが。

菊地 ゴルフ場のステイタスが下がるからサービスを低下させたくないという話を聞きますが、私は自動化や合理化は、むしろサービスを向上させると考えています。例えば精算時のサービスのあり方を考えると、プレーが終わったお客さまにとって、精算で待つことは全く無駄な時間です。お客さまはとにかく支払いを早く済ませたいだけなのです。ゴルフ場側が接客を重視したいと考えて対面で精算を行い、結果として精算に時間がかかり列を作ってしまうというのは本末転倒な話だと思います。
自動精算機を導入することにより、金銭トラブルの心配も無くなり、精算の待ち時間も大幅に短縮されます。

──精算機の導入のメリットはサービス向上につながると?

菊地 人件費を減らすために社員をリストラしたり、正社員がおこなっていた業務をアルバイトに置き換えると、やはりサービスの質は低下します。しかし、自動精算機の導入によって、精算作業に要していた人員をお客さまの接客に回すことができます。機械は無機質だと思われるかもしれませんが、スタッフが精算機の前に立ってお客さまを誘導したり、話しかければ、いままで以上にお客さまとの接点が生まれます。スタッフは細やかな対応や笑顔での送迎など、原点である接客サービスに集中でき、Face-to-Faceのサービス提供に専念することが可能となりサービスの向上につながります。

自動精算機ではなく、アルバイトに精算作業をさせればよいとも考えられますが、教育が不十分であれば“違算”が起きたり、金銭管理上の問題も発生しやすくなります。自動精算機は間違いを起こしません。精算サービスにおいて“間違いがない”というのは、一番重要なサービスなのです。

──菊地さんが考えるゴルフ場のサービスのあり方とは?

菊地英樹 様 フォト 菊地 いかに付加価値のあるゴルフ場を運営できるかが今後の課題です。その中でサービスの充実は重要な項目です。自動精算機や自動発券機、GPSナビ付きカートなどを導入しても従業員がゼロになるわけではありません。本業である接客サービスに人員を投入し、質の向上につなげられるのが、導入の一番のメリットだと思います。

 さらに言えば、自動精算機をインターネットにつなげて、予約を確認できる機能を盛り込んでみてはいかがでしょう。

また、ゴルフ場運営の大変大きな問題として予約のキャンセルが簡単にできてしまうことが挙げられます。キャンセル防止には事前精算方式が最も有効なので、事前精算による割引サービスなどによって自動精算機をうまく活用できるのではないかと思います。

こういったさまざまなツールを事前に準備しておくと、今までにはなかったサービスを創造できます。巨大で豪華なクラブハウスを抱えたままでは、時代や環境の変化に対応できません。平日は働いて、土日に思いっきりゴルフをしたいと思う若いゴルファーはまだまだいます。女性も含め、潜在層を掘り起こすためにも、単に価格を下げるだけでなく、効果的な施策を生み出していくことが重要です。私自身も、ゴルフの楽しみをもっと増やせる提案をしていきたいと思います。

──本日はどうもありがとうございました。

取材日2012年12月26日