びっくりドンキーならではのドキドキ、ワクワクを、
「非対面」の安心感の中で実現できました。

びっくりドンキーならではのドキドキ、ワクワクを、<br>「非対面」の安心感の中で実現できました。

株式会社アレフ びっくりドンキー店舗運営本部 西日本店舗運営部 部長 堀 雅徳 様

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アレフ様の事業内容と店舗の運営ポリシーをお聞かせください。

当社は1968年に岩手県盛岡市で創業しました。その後、本社を北海道に移転して、現在はハンバーグレストラン「びっくりドンキー」を全国に334店舗(2021年3月現在)展開しています。

将来的には600店舗の出店を計画中です。「お客さまを楽しませたい」という創業者のDNAを受け継ぎ、「びっくりドンキー」というネーミングをはじめ、店づくり、店舗運営に至るまで「ドキドキ、ワクワク」をキーワードにしています。もちろん商品力があってこそですが、「外で食事をするのって楽しいよね」とお客さまに感じていただく価値を非常に重要視しています。そのため店舗ごとに内装を変えるなどの試みも行ってきました。

こちらの箕面店も天井を覆うような巨大な木のオブジェが非常に個性的ですね。

オープンから30年近くたちますが、内装は当時のままですのでお客さまに深い印象を与えていると思います。店舗によっては地域性などに合わせた演出も行っています。将来600店舗を目指す中で標準化も採り入れながらも、お客さまの利便性や居住性の高さを追求しようというポリシーは変わらず固持していく方針です。

従来は店舗運営においてどのような課題がありましたか?

お客さまが商品のオーダーや何かご要望がある時、テーブルに設置した端末のボタンを押してスタッフを呼ぶのですが、その際、ピンポン音が鳴ります。混んでいる時間帯はそのピンポン音が頻繁に鳴り、それに対して「ただいまお伺いします」というスタッフの返答も店内に響きますので、とても落ち着いて食事を楽しんでいただく雰囲気とは言い難いものがありました。

スタッフのほうも、次々と呼び出しが発生するので、次にやるべき仕事がどんどん後回しになっていったり、お客さまに「少々お待ちください」と伝えてお待たせしたりすることで大変なストレスを感じていました。そして、もう一つの課題は春のグランドメニュー改定の作業に各店舗で多大な時間がかかっていました。

「びっくりドンキー」のグランドメニューは大きな木製の扉を開くとメニュー表が現れる、とてもユニークなつくりですね。

これもお客さまに「ドキドキ、ワクワク」を感じていただくための工夫ですが、メニューを刷新する際、もともと木製の扉の中にあったメニューを剥がして新しいものに貼り直す作業が必要で、全テーブルのメニュー差し替えに1店舗あたり約3時間かかっています。

TTOやMST、KIOSK端末を導入されたのは、そのような課題を解消するためでしょうか?

そうですね。もともとは「びっくりドンキー」の既存店に先駆け、「ディッシャーズ」という新業態の店舗に、オーダーや精算をお客さまがセルフで行うシステムの導入を決定していました。同じシステムを既存店に導入するにあたり、システムの調査・検証を行うことをアルメックスに相談しました。それが2019年5月のことです。たまたまその約1年後、コロナ禍によって「非対面・非接触」の対策がさまざまな接客業で求められましたが、当社ではそれ以前から取り組んでいたのです。

新システムの導入効果はいかがでしょうか?

一番大きな効果は客席の居住性が良くなったことです。呼び出しのピンポン音がなくなり、店内の音といえばほとんどお客さまの会話とBGMだけ。

お客さまが手元のタブレット操作でスタッフを呼び出す際は、「ウホウホ」という遊び心のある音が鳴るようにしました。こちらも「ワクワク、ドキドキ」の演出ですね。

また、スタッフは客席まで行かなくてもお客さまのオーダー内容がわかるので必要な作業により集中できるようになりました。そのストレスがなくなった分、表情は明るくなり、オーダー漏れなども防げるのでサービス向上につながります。もちろん、オーダーをとったり会計を行ったりする時間が削減できるので、省人化も期待できます。

グランドメニューの刷新も楽になったのでは?

その通りです。メニューチェンジの時期になると自動的に新しいものに切り替わるので、スタッフは入れ替え作業の手間から解放されます。また、紙からデジタルになることでコスト面のメリットもあります。日々の運営の中でも、ランチタイムなど時間帯によってメニューを自動的に切り替えることができるのも助かります。ランチメニューが対象外の週末などは手動でコントロールしなければなりませんが、従来に比べかなり省力化できています。

売上げ面の変化はありましたか?

買い上げ点数が上がりました。顕著なのは、「大盛り」が従来の約2倍、「小ライス」が約4倍、「追加ディッシュサラダ」が約1.5倍、そしてトッピングも2.2倍に増えました。

文字だけを掲載していた従来のメニューに比べ、タブレットでは選択肢として明示されるためお客さまの認知率が高まったのかもしれません。その追加オーダーの画面設計もアルメックスの提案で実現されたものです。「ついで買い」が促進されることで全体的に買い上げ点数が増え、それが客単価の上昇にもつながります。戦略的に価格が高めの商品をクローズアップするのではなく、自然に客単価が上がるというのは理想的と言えます。

その他、想定していなかった効果はありましたか?

KIOSK端末の導入で、朝の開店作業を軽減できるようになりました。本来は金庫からお金を出し、金額を数えてレジスターに入れるのが朝のレジ回りの作業でした。しかも現金のことなのでスタッフ2人で対応します。新システムでは、前日の閉店時に釣銭をセットしておき、翌朝はPOSとKIOSK端末の電源を入れるだけです。開閉店の作業でトータル30分かかっていたのが16分で完了できるのでこれは大きいですね。

ところで、調査・検証は具体的にどのように行ったのでしょうか?

東京の南池袋店を効果検証の場にしました。検証をスタートしたのが2020年3月。まさにコロナ禍が本格化し始めた頃です。その後、緊急事態宣言の発令などもあって半年ほどかかりましたが、システムの有効性が確認され、全10店舗に展開することになりました。

アルメックスの担当者とはどのようにやりとりされていましたか?

南池袋店での検証中は頻繁に打ち合わせを行い、課題をリスト化した「仕掛り一覧」を共有して、一つ解決したら消していくという作業を一緒に行いました。アルメックスの担当者の方は、交代交代で池袋店に常駐する体制をとってくれました。自動精算機のよく見える席に必ず誰かいて、常に様子を窺っているのです。そこは「アルメックス席」と呼ばれていましたね(笑)。

アルメックスの対応に感じていることは?

とにかく担当者の皆さんは「びっくりドンキー」の商品を深く理解してくれています。「アレフの社員じゃないの?」と思うくらいです(笑)。だから、打ち合わせはスムーズだし、提案の内容もこちらの想像を超えるものだったりします。各商品をメニューに落とし込んでいく際にとても安心感がありました。それは非常にありがたいと思っています。

お客さまからはどのような声が聞かれますか?

実は南池袋店でアンケートを実施してお客さまの生の声を伺いました。タブレットについては「店員を呼ばなくて良いので便利」「店員に気を遣わずメニューをじっくり選べる」といった声が多かったですね。また、操作性もアルメックスと打ち合わせを重ねながらよりシンプルにすることを追求したので「操作が単純でわかりやすい」という声をたくさんいただいています。

新システムに関するスタッフの評判はいかがでしょう?

スタッフにもアンケートをとっています。多かった回答は「オーダーミスを気にしなくてよくなった」というものでした。ミスをすると先輩から注意されてストレスが溜まりますからね。また、「いまやらなければならない作業に集中できるようになった」という声も新システム導入の大きな効果を表しています。

コロナ禍でのメリットも大きいのでは?

お客さまもスタッフも対面や接触はできるだけ避けたいと思いますから、新システムが双方の安心できる環境づくりを後押ししているのは間違いないです。

今後検討している機能はありますか?

現在の精算は、現金、クレジットカード、電子マネーで行うようになっていますが、KIOSK端末のほうはQR決済にも対応しているので、お客さまの利便性を高めるためにもQR決済も行えるようにしたいです。

現在店舗でQR決済の実験を行っているので、あとは当社としてジャッジをするだけです。精算機に現金をたくさん入れても店舗によってはあまり動いていない状況もあるので、できるだけ現金の比率を低くしたいと考えています。また、店舗が発行するクーポンのQRコードも読み込めるようにしてKIOSK端末の活用の幅を拡げたいですね。

全店への導入も計画されているのでしょうか?

新システムを導入した10店舗での検証を踏まえ、今後の方針を検討することにしています。一番はお客さまの支持を得られているのかどうかなので、ある程度時間をかけて把握したいと考えています。10店舗のうち5店舗は「びっくりドンキー」の支持が一番厚い札幌にあります。すでに導入から2ヵ月目に入り、お客さまの有効なご意見が得られるタイミングに差し掛かっていると思うので近々ヒアリングを行う予定です。